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ジョニとミシュの旅

人間は経済的だとジョニは思う。
合理的に、効率的に、自分を中心に生きている。
ミシュから貰った写真を箱に戻してベッドに腰かけた。
知らないところでミシュはジョニ達の写真を撮ることがあった。
写真は斎藤や金子たちと飲みながら爆笑していたり、教室の外で課題の制作をしていたり、季節も夏や春とバリエーション豊かだ。とにかくたくさんの写真をミシュは知らない間に撮り続け、小遣いのようにジョニ達にくれた。
そのどれもに自分の姿を探して見つけると、照れくさくもぱっとうれしくなった。
どこかから見ていてくれたような気持ちで、おこがましいのだろうけれど。
テレビにリモコンを向け、何度かボタンを操作してジョニは寝ころんだ。
窓を開けると風が流れ込んできて、部屋の隅にいても涼しい。
最近は半袖で出かけることが多くなり、残り少ない授業を消化しながら過ごしていた。
前に描き始めた小説は止まっている。

いつのまにか眠ってしまい、ジョニはチャイムの音で目を覚ました。
声でちえこと斎藤だとわかった。
「やっぱり寝てた」
斎藤が携帯を指差しているのであわてて開くと何通かメールが届いている。
今度三人で飲もうと約束して、買出しに集まる場所まで決めていたのを思い出して急いで謝った。
「罰としておまえ今日からフランス人ね」そう言って斎藤は駄菓子のおまけで付いてくる国旗をジョニに手渡した。「フランス一回もいったことないよ」

ちえこの就職活動の話や、ゆかりさんの料理ははたして旨いのかといった話をしながら三人で酒を飲んだ。
途中でちえこに適当に食事を作ってもらい、味の素の是非について多数決を採った。
斎藤が意外に健康志向で不服だとちえこが言った。
話題も尽きてくると斎藤がコンビニのバイトに出る時間になったので、飲みすぎでふらつくちえこと送りだした。
「少し休んだら帰るよ、ごめんね」
ちえこは飲みすぎてソファに伸びていた。ちえこを休ませて片づけをしながらとりとめのない話をする。
「写真見てもいい」ちえこがそう言うのでジョニは笑ってうなづいた。「手紙は読まないから」
流しからいたわるように静かに写真をめくっていくちえこが見えた。テレビの音声だけ聞こえるなかで時折頬を緩ませたりしている。電球が暗いとも思った、これは換えなくては。
「その友達はミシュって言うんだ」
ちえこの向かいに座ってお茶を渡した。
テレビではバラエティ番組の司会が客席を沸かせている。
日本人だよね、と言うちえこにジョニは半笑いでうん、といきさつを説明した。
「こういう写真好きだな」笑うちえこにジョニは頷いた。
ミシュは突然いなくなってしまった。
部屋を引き上げて、電話も解約してしまった。訪ねてみるとミシュの部屋にカーテンはなかったし、知り合いの誰もがそんなそぶりは感じなかったといった。
斎藤やジョニに何も言わずミシュはいなくなった。
実家に帰ったのかもしれないが、岩手の生まれというだけでそれほど詳しくないし、同じ時期に金子もぱったりと学校に来なくなった。
噂では金子がなにか大きなイベントで賞を地道に獲っていたところを、大きな企業に引き抜かれていったらしい。何度か電話をかけたがつながらず、金子から返ってくることもなかった。
「手紙に返事は出したの」いなくなってそれきりだと言ったあと、ちえこが手紙を指差して言った。
「住所が違ってたみたいなんだ。手紙が戻ってきちゃったんだ」
つまりはそういうことだった。

「でもきっとミシュはジョニーのこと、大事な友達だと思ってるはずだよ」
それじゃなきゃ手紙なんて送ってこない。とちえこは続けた。
斎藤には手紙が届いていないことを聞いて、ジョニもなんとなくそれはわかっていた。
理由が言えないのを申し訳なく思っているのかもしれない。
人間は合理的に物事を考えるなあ。
「ありがとうフランス人」
コンビニに斎藤の忘れた財布を届けると、プリンを二つ持たせてくれた。
制服の後姿にお礼を言って自転車をこいで帰る。
頭痛がする、といって休ませていたちえこはソファで眠っていた。起こさないようにシャワーを浴びて、仕方がないのでジョニはちえこに布団をかけて自分はベッドに横になった。
真夜中に物音がして目を覚ますと、ちえこがジョニの隣にくるところだった。
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