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もはや意地
  • 2009-06-12 22:53
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ジョニとミシュの旅

はじめベッドに腰かけていたちえこは、思い出したように立ち上がるとソファから布団をとってジョニにかけた。
少し暑いくらいだったがせっかくちえこがかけてくれたのでジョニは息をひそめて目をつむっている。
呼吸を意識してしまって息苦しい。
ちえこの気配が風呂敷のように覆いかぶさってきて、体中のうぶげに水滴がついたみたいだ。
それに溺れながら息をとめている。
ちえこは子供みたいにゆらゆら立っていた。
なんとなく見られているのはわかったがどんな表情なのか暗くてよくわからない。
そのうちにちえこが隣で横になった。
生き物がふたり群れて部屋の隅だけ熱っぽい。
遠くで車が走る音がよく聞こえて、壁に向かっていたジョニの背中にちえこの温度がよく伝わってきた。

じっとしているのが息苦しかった。
しばらくするとキッチンのほうでなにかの音がしたので、それが合図のようにジョニはちえこのほうをみた。
わあとちえこは顔をあげた。「なんだ、起きてたの」髪の毛がはねている。それから「狭いのにごめん」とちえこは笑った。
意外にもあっけらかんとしていた。
「ちえこの様子が違ったから声掛けにくかったんだ」ちえこは微笑んで何も言わなかった。
寒くない。少し。入ったらいいよ。失礼します。僕は暑い。なんだよっ。
転がすように会話してると原付がアパートの前で停まって、足音が階段を上って行くのが聞こえた。
「ジョニー、困ってない」ようやく、といった様子でちえこが切り出した。
仰向け同士で左肩が少し狭かったが悪くはない。むしろちえこが隣にいるのは、心地よかった。
「驚いたけど、困ってない」言いながらジョニは自分がちえこのことを想像以上に信頼しているのだと思った。うまく表現できないが、そういいながらなぜか納得していた。困ってない。
一度ジョニのほうに体を向けると、照れくさそうに笑ってちえこはうつぶせに腕を組む。
何か考えているようで、ジョニもそれがわかっていた。

それきりお互い何も喋らないまま、ちえこは眠ってしまった。布団をかけてあげると一度だけ大きく呼吸した。
赤ん坊のような格好で寝ている。自分はやっぱり暑かったので上半身だけ布団をはいで、窓辺にある箱を見ていた。
ずっともやもやとしたものがジョニの膝から下には沈澱していて、読まなくちゃいけない書類のように時折思い浮かべてきた。忘れたいような忘れたくないような。
それがなにかのきっかけでまたよどみ上がってきて、それ以来ミシュは静かにジョニの心臓に腰かけている。そのせいでジョニの頭から、ミシュが離れなくなってしまった。
いまも三人で眠っている気がして、壁のひんやりとした温度に呼吸を感じてはっとした。

最後の夜、ミシュは真夜中にやってきた。
少しだけベランダで話をして、同じ布団で寝た。寒いからと言われたのだ。
はじめジョニは冗談だと思ったが、ミシュの表情を見たら何も言えなくなってしまった。
ぽつりぽつりと言葉を交わして、くすくすと笑いあって何台か車の走る音をきいた。
二人だけの内緒話は途中から、ミシュを寝かしつけるようになっていた。
ミシュの目はうるんでいて、何も言わなければ沈んでベッドの中に入ってしまうように思ったのだ。
夜明けごろジョニとミシュは一度だけキスをした。
お互い唇が乾いていて触れているのかよくわからない。
それよりもジョニの頬についた涙のほうが印象にのこっている。
ミシュはふっと息をはいてジョニの袖をつかむと、しばらく声を出さずに肩を震わせていた。
ジョニはそのとき自分がそうするべきだとなぜかわかっていて、金子のことは思い浮かばなかった。
小さい声でごめんと謝るミシュに、ジョニは頭をなでながら大丈夫と言った。
そこには愛情とも違う何かが流れていて、まるで儀式のようだった。
ミシュは去り際、扉の前で送り出すジョニの写真を撮った。あたりは薄暗くて、どれぐらいミシュが泣いていたのかわからない。
「ジョニはやっぱり背が大きいね」それきりミシュはいなくなってしまった。
あのときなぜミシュは泣いたのだろう。

ちえこがため息をついて小さく動いた。
ミシュに会おう。
会えばわかるかもしれない。
それから数日後、朝起きると携帯に金子から留守番電話が入っていた。
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